江戸の庶民を絶頂へ導いた!井原西鶴のデビュー作『好色一代男』

文豪たちのわやなストーリー

「愛せなければ通過せよ」というニーチェの言葉があります。

世の男性が次から次へと浮気をするのは、こんな理由からなのでしょうか?

歴史大好き、くろーるです。

江戸を代表するベストセラー作家・井原西鶴(いはらさいかく)。

そのデビュー作『好色一代男(こうしょくいちだいおとこ)』といえば、社会科の江戸文化の代表作として覚えた記憶くらいはあるでしょう。

でも、その内容となるとあまり知らないのではないでしょうか。

それもそのはず。

思春期の青少年には教えられない「18禁小説」だからです。

まぁ、″好色”っていう時点で想像つきますが・・・

井原西鶴を一躍有名作家にした『好色一代男』とはいかなる話か??

モザイクすれすれで解説します!!

作家・脚本家・俳諧師!マルチな才能の持ち主・井原西鶴とは?

1642年(寛永19年)和歌山の裕福な家庭に生まれた井原西鶴。

ちなみに、″井原西鶴″はペンネームだともいわれますが、定かではありません。

あまり知られていませんが、井原西鶴は俳諧師としての才能に恵まれていました。

一昼夜に俳句を1600句も読んだというギネスも驚きの記録の持ち主です。

俳句の名手でもありながら、40歳のときに書いた『好色一代男』が大ヒット。

その後もいくつものヒット作を世に出し続け、人形浄瑠璃の脚本も書くなどマルチな才能を発揮します。

井原西鶴の活動の中心は大阪ですが、当時、新進気鋭の作家・近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)との人形浄瑠璃対決など話題にも事欠かない人物でした。

井原西鶴の作風は″浮世草子(うきよぞうし)″と呼ばれ、江戸時代の人々の風俗や生活などをベースに娯楽性の強い作風が特徴です。

一般庶民に興味が湧くような内容が書かれている小説だったのです。

『好色一代男』の他に、『日本永代蔵(にほんえいたいぐら)』や『世間胸算用(せけんむなざんよう)』といった庶民密着のエピソードが書かれています。

江戸時代の大阪の人たちにとっての″あるあるネタ″を小説にしたような感じでしょうか。

かなり難解ともいわれている『好色一代男』ですが、この小説の特徴は想像力になると思われます。

主語がない文章や肝心な部分の大幅カットなどがあることが原因ではないでしょうか。

なぜなら、大事な部分をはっきり書くと、エロ過ぎて公序良俗に反するかもしれないからです。

だから、読んでいる人に妄想してもらうように書かれているだと考えられます。

このあときっと、こうなって・・・ああなって・・・ムフフッ

妄想させるところこそ、『好色一代男』がヒットした要因だったのですね。

主人公・世之介は生まれながらに色男のサラブレット

『好色一代男』の主人公・世之介を一言でいうと、生まれながらのプレイボーイ。

父は名うてのジゴロ、母は京都の遊郭・島原ナンバー1の花魁(おいらん)という、DNAからしてモテ男の血統でした。

『好色一代男』は、世之介が7歳の頃から話が始まります。

7歳の男の子といえば、木の枝を刀がわりに近所を駆け回るのがノーマルな子供像。

ところが、世之介は違います。

金持ちの家に生まれた世之介には、世話をしてくれるものがまわりにいます。

夜、用を足しに起き出した世之介のために、灯りをもってきた乳母を相手にナンパです。

世之介
世之介

お前のもっている灯りを消して、もっとこっちへおいでよ。恋の闇というのを知っているかい?

こんなこという7歳児なんて聞いたことありません。

世之介からはかなり年上でもあろうと関係ありません。

母性をくすぐるセリフの連発です。

ある時には、おもちゃを使ってもナンパします。

「おきあがりこぼし」を知っているでしょうか?

人形の底におもりがついていて、指で弾くとユラユラ揺れて起き上がるおもちゃです。

その「おきあがりこぼし」のおもりの位置が悪いのか、少し傾いておきあがる様子を見て、

世之介
世之介

何度倒しても、お前の方に傾くのは、俺の気持ちも傾いているからかな~?

と思わせぶりなことをいいます。

なんてマセガキでしょうか!

これが世之介・9歳のときだというから末恐ろしい!

小さな頃からナンパ師としての腕を磨く世之介。

生涯に3742人以上の女性と寝たというのもうなづけます。

未亡人も美人姉妹もヤルことやったらポイ捨ての無責任男

稀代のナンパ師・世之介の性への興味は留まるところを知りません。

未亡人は堕とすのが簡単だと聞くと、まさしくそれを実行します。

『好色一代男・巻二』には未亡人の堕とし方が書かれています。

世之介
世之介

葬式がある情報を得たら、その家の周辺の人に下調べをして話ができるようにする。夫と生前に交流があったフリをして訪問し、世間話をしてはたびたび世話をする。 そうしているうちに仲良くなるから、頃合いを見てラブレターを渡せばイチコロ!

これで何人も未亡人を自分のものにしたという話を聞いた世之介は、未亡人にターゲットを絞ります。

天性の素質もあるのか、ターゲットになった未亡人は世之介にすっかり心酔してしまうのです。

男女の関係になった未亡人は、やがて世之介の子供を妊娠します。

こうなると世之介の逃げ足は早いのなんの。

未亡人を置いて行方知れずになってしまう無責任ぶりなのです。

さらに、旅の途中で美人姉妹の情報をゲットします。

簡単には会えないほどの美人姉妹と聞いて、ますます燃える世之介。

世之介
世之介

何日待っても、美人姉妹に会うぞ!

会ってしまえば、世之介の色気にご当地自慢の美人姉妹もメロメロです。

一緒に世之介に連れられ旅をするも、お金が無くなったとたんに世之介に置いてきぼりにされてしまいます。

無責任一代男の世之介なのです。

この美人姉妹も、あわれ出家して尼さんになってしまいます。

怪奇!無責任男・世之介に女の恨みが襲いかかる!!

女性にモテる男は、一方で女性不信だともいわれます。

相手の女性を信用するができず、本当の愛を知らない可哀そうな一面もあるのだとか。

『好色一代男・巻四』で世之介が出会ったのは、夫のDVに悩まされる人妻。

しかも、牢屋で出会った恋なのです。

みすぼらしい姿で名も知らぬ人妻でしたが、世之介には惹かれるところがあって、彼女を連れて逃げだします。

ところが、ちょっと目を離したすきに、夫に見つかりその人妻は殺されてしまいます。

世之介が自殺を考えるほど、夢中になった人妻の死。

そして、このあと、世之介は世にも恐ろしい出来事に遭遇します。

夜、一人で寝ていると二階から物音が・・・

ふと見上げると、そこには顔は女だが、体は魚で足は鳥という妖怪が現れます。

世之介さま~、もしやわたしをお忘れではないでしょうね~

現れたのは一人だけではありません。

世之介の背後には、鳥の姿をした女や手が楓になった女が現れて、

毒まで盛って旦那を殺したのに、わたしを見捨てましたね~

次から次へと現れる妖怪をよく見ると、世之介がこれまで関係をもっては捨ててきた女たちだったのです。

女の恨みは怖いぃ~っ!

最愛の人との後味の悪い別れに傷つき、過去の女性たちの恨みを知った世之介は、心を入れ替えることを決意します。

世之介
世之介

これからは女性を大事にしなくては!すべての女性をね!

決して、一人の女性と添い遂げるつもりはない世之介なのでした。

江戸ナンバー1の女性・花魁たちの男心を殺すテク

世之介の一代記である『好色一代男』ですが、後半の巻では花魁(おいらん)との話が中心になります。

遊女にはランクがあり、そのうちの太夫(たゆう)・天神(てんじん)が花魁といわれます。

遊郭の花魁は、今でいうところの高級クラブのホステス。

ただキレイとか、カワイイだけでは務まりません。

上層階級と付き合える教養や素養、心配りなども一流でなければならないのです。

『好色一代男』を彩る花魁たちは、稀代の色男・世之介さえ惑わす色気の持ち主たち。

その中でも、くろーるオススメの花魁をご紹介します。

度胸の良さもナンバー1・高橋太夫(たかはしだゆう)

江戸の三大遊郭のひとつ、京都島原の花魁・高橋太夫

生まれ持って花魁としての素質があり、抜群の色気だけでなく度胸の据わった花魁でした。

高橋太夫は世之介にゾッコンだったようですが、花魁である以上、指名された客の相手をするのが仕事。

世之介の相手をしているときに、すでに予約済だった客から指名が入ります。

のらりくらりと世之介のところから離れない高橋太夫に、客からは矢のような催促。

高橋太夫
高橋太夫

待つこともできないような心の狭い客を相手にしても楽しくないでありんす。

そんな高橋太夫の態度を世之介が心配するほどです。

とうとう待ちきれなくなった客が乗り込んできて、あわてた店の主人が仲裁に入ります。

高橋太夫を店に出さないといって裏へ強制連行される始末。

高橋太夫
高橋太夫

世之介さまぁ、さらばえ~

これほどの修羅場をつくっておきながら、高橋太夫には世之介しか目に入っていないのです。

ずいぶんと惚れられたものです。

その心配りに男たちがメロメロ・高尾太夫(たかおだゆう)

江戸吉原でも三大花魁のひとりである高尾太夫

どうしても一晩をともにしたい世之介は、大金をはたいて高尾太夫を指名します。

世之介の供をしてきた男とともに高尾太夫を待っていると、いよいよ最高位の花魁がやってきます。

ところが、高尾太夫は他の遊女も呼んできて、布団の上で遊びだしたのです。

高尾太夫と二人っきりと思っていた世之介は、すっかりヤル気を失くしてしまいます。

ひととおり遊んだあとで供のものたちを引下げさせ、いざ夜をともにする頃には白けてしまった世之介を見て、高尾太夫がこんな一言をいいます。

高尾太夫
高尾太夫

せっかく用もないのに人を呼んだのは、布団を温めるためだったでありんす。これからさらに温まろうという、あちきの気持ちをムダにするのでありんすか?

世之介は体の芯からゾクゾクっとしたはずです。

朝まで頑張ったのはいうまでもないことでしょう。

思わずムラっとさせられる!井原西鶴のデビュー作『好色一代男』まとめ

この記事を読んで井原西鶴の『好色一代男』を読んでも、

「こんなこと書いてないけど~」

というクレームは受け付けません。

なぜなら、妄想しながら読むのが『好色一代男』の正しい読み方だと思うからです。

江戸の風俗ルポ・ナンパ本・エロ小説といろいろな楽しみ方のできるところも読みどころといえます。

3度読んでもすべてを理解するのは不可能。

むしろ、自分の好きなシチュエーションを探したり、自分好みの花魁を見つけたりして『好色一代男』の世界を楽しんでもらいたいものです。

だって『好色一代男』の世界とは、男性なら一度は妄想する夢のハーレム生活なのですから。

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