昆虫好きのくろーるです。
池の水を抜いたら、外来生物がたくさん出現!
そんな人気なテレビ番組もありますよね。
カミツキガメとかガーとか、水族館や動物園でしか見られなかった生物たち。
勝手にペットとして日本に連れてこられて、害獣扱いとは、生き物たちに同情もします。
しかし、新天地を求めて海を越えてやってくる昆虫たちもいます。
これから日本を襲う危険な昆虫たちをご紹介します。
危険生物第5位 果樹園を荒らし桜も枯らすクビアカツヤカミキリ
漆黒のボディに赤い首輪をつけたその姿。
ダークサイドからやってきた悪魔の昆虫。
日本中の果樹園が恐怖におののいているクビアカツヤカミキリです。
コウチュウ目カミキリ科
別名:クロジャコウカミキリ
分布:中国・モンゴル・ロシア極東部・朝鮮半島・ベトナム北部
カミキリムシ科は、昆虫好きにはコレクターの多いジャンルです。
一度は採集してみたい!というカミキリムシコレクターも多いでしょう。
2012年に愛知県で初めて確認されてから、分布地域を広げています。
カミキリムシは、元々、木の幹に卵を産みます。
産まれた幼虫は、木の幹を食べて成長し、成虫になると外へ出てくる虫です。
クビアカツヤカミキリの幼虫のお好みは、バラ科の樹木。
バラ科の植物には・・・
サクラ ウメ リンゴ モモ ナシ
すべて日本ではお馴染みの果物ですね。
バラ科の樹木の中で生まれたクビアカツヤカミキリの幼虫は、幹の中を食い尽します。
喰いつくされた樹木は、ときに枯れてしまうこともあるのです。
実際に、公園のソメイヨシノが被害に合い、被害拡大防止のために切り倒されるケースも出ています。
環境省は2018年に特定外来種に指定しています。
このままクビアカツヤカミキリの分布が広がれば、日本の果物が全滅する日が来るかもしれません。
危険昆虫第4位 気にいらないヤツは駆逐するアルゼンチンアリ
アルゼンチンの名のとおり、南米原産のアリです。
日本では、1993年に初めて確認されており、西日本を中心に定着しつつあります。
アルゼンチンアリはとても攻撃的で、侵入した相手を排除するまで攻撃を続けるところがあります。
元々、樹木の中に巣を作るため、日本では住宅などの建物への侵入が問題視されています。
木造住宅の多い日本では、アルゼンチンアリが住宅に侵入することを好むと見られます。
住宅に侵入したアルゼンチンアリは、例え相手が人間であろうと攻撃を続けます。
布団の中にまで入って噛む例も見られるのです。
また、働きアリには電気に引き寄せられる性質があることも問題です。
他のアリよりも攻撃性の強いアルゼンチンアリですから、通信回線を噛むことで断線させることも考えられます。
次項で扱うヒアリ同様、人間の生活環境への影響が心配されています。
危険昆虫第3位 在来種アカアリとの区別がつかないヒアリ
日本名は「火蟻」。
ヒアリの毒に刺されると火であぶられたような、突き刺す痛みがあることから名づけられました。
ハチ目アリ科
原産:南米大陸
世界の侵略的外来種ワースト100の一種
日本では2017年に、はじめて確認されています。
すでに繁殖が広がっていた中国からのコンテナに侵入していたものが、日本へ運ばれてきたと考えられています。
当初は、女王アリは発見されなかったため、国内での繁殖はないと思われました。
その後、国内でも女王アリの死がいが見つかったことから、繁殖の可能性も疑われています。
ヒアリのもつ毒は、あまり強力なものではありません。
しかし、ときにはヒアリの持つ毒によってアナフラキシー症候群を起こすことがあります。
アメリカでは、ヒアリの毒によって死者も出ているのです。
さらに、ヒアリの働きアリには、磁力に寄っていく性質があるといわれています。
現代のインフラは、多くの電気に頼っています。
地中に埋められた電線やビルに張り巡らされたネット回線に、ヒアリがおびき寄せられることが考えられます。
ヒアリによる断線によって、インフラが混乱することがあるのです。
送金途中でショートしたり、電車のダイヤが突然乱れたり・・・
それはすべてヒアリが原因かもしれないのです。
危険昆虫第2位 伝染病を媒介するアノファレス・クァドリマクラタス
蚊の一種で北アメリカに分布しています。
特にマラリアを媒介するといわれています。
アメリカ合衆国では一度は根絶したマラリアが再び蔓延する原因が、このアノファレス・クァドリマクラタスではないかと推測されています。
蚊は吸血昆虫のため、マラリアの人の血を吸ったあとに、正常な人の血を吸うことで伝染させていくのです。
アノファレス・クァドリマクラタスが蚊であることで、衣服や貨物の中にも付いてきやすいと考えられます。
また、好む生息場所が水田のようなところのため、一度日本に侵入すると適応しやすい環境にあります。
近年、日本の在来種であるヒトスジシマカがデング熱を媒介したことで、話題になりました。
ヤブカともいわれ、都心ではあまり見られない種でした。
ところが、アスファルトやコンクリートで雨が地中に浸透せず、水溜りができやすくなっています。
むしろ、蚊の幼虫・ボウフラにとっては、成虫である蚊になりやすい環境が整っています。
アノファレス・クァドリマクラタスにとっても、繁殖しやすい環境が都会にはあるのです。
危険昆虫第1位 その移動距離1日200キロ・サバクトビバッタ
今もっとも危険視されている生物がサバクトビバッタと考えます。
サバクトビバッタは、東アフリカに生息する大型のバッタです。
普段は大人しく、綺麗な緑色をしています。
ところが、サバクトビバッタは餌が少なくなると集まってきて集団になります。
集団になったサバクトビバッタは、体の色が茶や赤に変色し、狂暴化するのです。
狂暴化したサバクトビバッタは、移動しながらあらゆる植物を食べ尽くします。
サバクトビバッタの行く先にある農作物は、根しか残らないのです。
2020年は、サバクトビバッタの集団が特に大型化し、すでに多くの被害を出しています。
エチオピアやケニア・ソマリアの農作物を食い尽くしたあと、紅海を渡ってアラビア半島に大被害を出しています。
内戦による食料危機にあったイエメンは、サバクトビバッタによって壊滅的な被害を受けています。
サバクトビバッタは、移動をしながら、何世代にも繁殖することも特徴です。
数が減ることはないのです。
ペルシャ湾を渡ったサバクトビバッタは、イラン→パキスタン→インドと移動しています。
幸いなことにサバクトビバッタは、世界最高峰のヒマラヤ山脈は越えられません。
なら、日本までサバクトビバッタが来ることはないですよね。
ところが、そうではありません。
ヒアリ同様、コンテナに乗ってサバクトビバッタは簡単に移動してしまう心配がいます。
直接、日本までは来なくとも、アフリカ諸国や中東との交易が盛んな中国にサバクトビバッタが侵入することがあれば、中国大陸から日本へ渡ることなど簡単です。
日本の農作物が壊滅的な被害を受ける日も遠くはないかもしれません。