サバクトビバッタに立ち向かう『バッタを倒しにアフリカへ』

子供が昆虫博士になりたいといったら、あなたならどうしますか?

昆虫採集をしますか?

昆虫図鑑を見ますか?

いやいや、まずは、この「バッタを倒しにアフリカへ」を読んでください。

この本を読み始めて思うことは、昆虫博士はやめようかなということ。

だからこそ、昆虫博士になりたい人には、絶対に読んで欲しいのです!

読み終わったあとに感じているものは何か?

それから、昆虫博士になるかを考えてみてください。

サバクトビバッタとの生活にまみれる前野ウルド浩太郎先生

著者前野ウルド浩太郎先生は、サバクトビバッタ研究の第一人者です。

2020年の現在、アフリカから始まりインドに至るまで、大規模な農業被害を出しているサバクトビバッタ

前野ウルド浩太郎先生は、アフリカ西部のモーリタニアという国でサバクトビバッタの研究を始めます。

モーリタニアは、2004年にサバクトビバッタの猛威に襲われています。

ここで、前野ウルド浩太郎先生は、実際に生息するサバクトビバッタを観察しながら、その生態を明らかにしようと奮闘するのです。

その姿はまるで、現代のファーブルさながら。

そこにモーリタニアの生活様式や風土、人々のことを織り交ぜながら綴られていきます。

サバクトビバッタの生態から、その駆除方法を見つけ出すことが、前野ウルド浩太郎先生の使命なのです。

サバクトビバッタの悩みより大きいお金の悩み

「バッタを倒しにアフリカへ」の中では、たびたびお金の話が出てきます。

研究にはお金がかかり、その資金確保が大きな課題であることを思い知らされます。

IPS細胞の研究者・山中伸弥先生もリチウムイオン電池の吉野彰先生も、研究費の確保を話されていました。

すぐには成果につながらず、稼ぐことができないために、研究職の道を諦める人も多いのでしょう。

昆虫の研究は、元々、害虫駆除を目的として始まりました。

最近でこそ、昆虫の体内構造が工学に生かされ製品化に結びつくといった話題を聞くようになりました。

でも、製品化することを目的として昆虫を研究してきたわけではありません。

これまで積み重ねた昆虫研究が、新しい技術と結びついたに過ぎません。

前野ウルド浩太郎先生の研究も、何十年後かに成果が現れるかもしれません。

それまで研究を続けるためには、資金が必要なのです。

お金はなくとも愛があれば大丈夫といいますが、お金がなくては研究はできません。

前野ウルド浩太郎先生のお金の苦労話も、「バッタを倒しにアフリカへ」を読む意義のひとつなのです。

前野ウルド浩太郎先生の教える研究者に必要なもの『情熱』と『行動』

昆虫の研究に限らず、研究者はときには心が折れそうな場面に遭遇すると思います。

そんなときに研究者を支えるものは、研究対象への情熱

前野ウルド浩太郎先生にとっては、先駆者ファーブルへの尊敬とバッタ研究の第一人者となる情熱なのです。

そして、まずは行動。

研究には失敗がつきものです。

サバクトビバッタの生態研究の中でも、数々の失敗が披露されます。

今まで誰もチャレンジしなかったことなのです。

失敗も当然の結末といえます。

その分、成功したときの喜びや意外な発見の興奮を知ったとき、研究者にのみ与えられる快感があるのかもしれません。

成功の唯一の方法は、成功するまで続けることといいます。

研究は正に、続けることが成功への唯一の最短コースといえるのでしょう。

まとめ『バッタを倒しにアフリカへ』

サバクトビバッタの研究は、まだまだ道半ばです。

アフリカの農業被害を防ぐ前野ウルド浩太郎先生の挑戦は、これからも続きます。

ちなみに、前野ウルド浩太郎先生に名前に違和感を感じていますか?

前野ウルド浩太郎先生は、秋田出身の生粋の日本人です。

“ウルド”というサードネームには、深い意味があります。

“ウルド”には、どのような意味があるのか?

気にかかった人は、「バッタを倒しにアフリカへ」を手に取ってみてください。

表紙のバッタのコスプレも、気を引くためのものではありません。

緑のバッタコスプレの必要性も、是非、本書から見つけてくださいね。

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