影響は世界へ!生息地拡大!感染症を広げる日本在来ヒトスジシマカ

理科の自由研究

昆虫大好き、くろーるです。

ヒトスジシマカといわれる日本在来の蚊がいます。

藪の中に入ると刺される“ヤブカ”と呼ばれる蚊の種類です。

このヒトスジシマカが「世界の侵略的外来種ワースト100」に入る外来昆虫に指定されています。

ヒトスジシマカの危険性は、感染症のウイルスを媒介して広げること。

さらに、ヒトスジシマカはその生息域を広げています。

この記事では、

「ヒトスジシマカが生息地域を広げるワケ」

「ヒトスジシマカが増えるワケ」

「ヒトスジシマカがなぜ危険な昆虫なのか?」

について解説していきます。

ヒトスジシマカの生息地域は海を越えてアメリカまで

ヒトスジシマカは、“ひとすじ”の名前のとおり、背中に1本の白い線があることが特徴です。

日本をはじめ東アジアに生息するヤブカの仲間で、主に水のある湿った環境を好みます。

水田の多い日本でも、水田脇の藪に入ると刺される蚊です。

家の中にいるイエカよりも刺す痛みは強く、そのあとのかゆみも強く感じます。

元々は東アジアにしか生息していなかったヒトスジシマカですが、今ではアメリカや中南米などへも生息地域を広げてしまいました。

その理由は、

・古いタイヤに残った水にボウフラが生息していた。

・ボウフラが生息しまま、アメリカへ輸出されてしまった。

・同じように中南米へも輸出されてしまった。

こうしてヒトスジシマカが全世界へ広がっているのです。

おかげで、「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定される昆虫になってしまいました。

もうひとつ、ヒトスジシマカが生息地域を広げる理由があります。

・地球の温暖化による活動しやすい気候・気温の広がり

ヒトスジシマカは、気温が10度以下になると活動が低下するとされます。

そのため、70年前には栃木県が北限だったヒトスジシマカですが、徐々に生息地域が北上していきました。

現在は、青森県でもヒトスジシマカは定着して生息していることが厚生労働省の調査で判明しています。

日本では北海道以外の地域では、ヒトスジシマカが定着してしまったのです。

北海道においても、地球の温暖化の影響で平均気温が上昇しています。

ヒトスジシマカが日本全国に定着することは十分考えられるのです。

都会は天国!ヒトスジシマカに住みよい環境が整っている!?

湿気のある環境を、ヒトスジシマカがなぜ好むのか?

それはヒトスジシマカの幼虫であるボウフラが、水の中で成長することが原因です。

ヒトスジシマカが増えることを予防するため、シンガポールでは徹底した対策をしています。

鉢植えの水溜まりを放置しておくと罰金です。

そのため、シンガポールでは蚊を見ることがありません。

それほど徹底した対策をとっているシンガポールでも、ヒトスジシマカを撲滅することはできていないのです。

しかも、ヒトスジシマカは都心の方がより増えていることを知っているでしょうか?

ヒトスジシマカが増える原因は、コンクリート化です。

コンクリート化による影響としては、

・雨が降っても地中に水が浸透しない。

・日陰の水溜りは何日もそのまま。

・ボウフラの好む水辺が増える。

さらに、ヒトスジシマカが都心で増える原因として、

・ヒトスジシマカを食べる捕食者が少ない。

こうした点も挙げられます。

ヒトスジシマカにとっては、都会は住み心地の良い場所となっているのです。

ヒトスジシマカが感染症を媒介する仕組み

ヒトスジシマカが危険視される理由は感染症の媒介です。

ヒトスジシマカは、知っての通り吸血昆虫です。

ヒトスジシマカが感染症を媒介する仕組み

①ある種の感染症にかかっている人の血を、ヒトスジシマカが吸血します。

②ヒトスジシマカの体内で、その感染症ウイルスが増えます。

③ヒトスジシマカが別の人の血を吸います。

④ヒトスジシマカの体内で増えたウイルスが、血を吸われたときに感染します。

こうしてヒトスジシマカが血を吸う度に、感染が広がっていくことになるのです。

ヒトスジシマカが媒介する感染症

ヒトスジシマカが媒介する感染症としては、次のようなものあります。

・日本脳炎 ・黄熱 ・マラリア ・西ナイル熱 ・チクングニア熱

・デング熱 ・ジカ熱   など

この中でも、デング熱は日本には無いウイルスです。

そのため、第二次世界大戦のときに南方戦線に行っていた兵士の帰還によって、日本国内でもデング熱の感染がありました。

そのあとは2014年まで70年あまりも日本国内での感染はありませんでした。

ところが、日比谷公園を感染源としてデング熱が感染したことは記憶に新しいと思います。

感染を媒介したのはヒトスジシマカでした。

都会の公園は、ヒトスジシマカの生息地になっていたのです。

また、2016年を中心に中南米で流行したジカ熱もヒトスジシマカによる感染媒介です。

もともとネッタイカというヒトスジシマカと同じヤブカの仲間も媒介主でもあります。

しかし、日本から侵入したヒトスジシマカは、より街中に適応して繁殖しました。

そのため、ジカ熱の流行を広げる役割をヒトスジシマカはしたことになります。

一方で、インフルエンザに代表されるコロナウイルスは、ヒトスジシマカの体内では増えないことがわかっています。

イタリアの高等衛生研究所の研究結果として、最近は発表されています。

とはいえ、媒介するウイルスの多いヒトスジシマカは、世界でも危険昆虫のひとつであるのです。

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