学生時代は落語研究会におりました、くろーるです。
古今東西、怖いからこそ聞きたくなるのが人間の性(さが)というものです。
落語の演目の中には、不可思議で奇妙な世界を演じた演目があります。
今回は、面白さに重点を置きながら、想像すると恐怖を感じる演目をご紹介します。
恐怖度軽めの怖がりな方や子供向けです!
落語演目の紹介順番は、本編の長さ順になっています。
怖いけど面白い!!
もしも、お菊の井戸がエンタメだったら?落語「お菊の皿」
本編時間 | 約15分 |
怖さ度 | ★☆☆☆☆ |
笑い度 | ★★★★★ |
怪談『番町皿屋敷』をベースとした、笑える怪談話です。
お菊さんをわがものにしようとした主人が高価な皿を隠した上でお菊さんを責め、死なせてしまったことで化けて出てくる話はお馴染みです。
そのお菊の井戸がエンタメとなったら?という設定が落語「お菊の皿」なのです。
お菊さんライブが開かれる後半は、落語家さんによって盛り上げ方に違いがあります。
自分の好みの演者さんを見つけるのも楽しいかも。
何気ない風景に隠れた恐怖を信じますか?落語「幽霊の辻」
本編時間 | 約20分 |
怖さ度 | ★★★☆☆ |
笑い度 | ★★★★★ |
落語は主に昔から語り継がれた古典落語と新しく作られた創作落語に分かれます。
落語「幽霊の辻」は、昭和に作られた創作落語に分類されている演目です。
そのため、今では知られない言葉などは少なく、聞きやすくなっています。
道案内の目印には、「水子池」「獄門地蔵」「父追い橋」「首括りの松」とあり、その由来は恐ろしいものばかりです。
その由来話を軽いタッチで話すおばあさんが、とっても愉快です。
怪談話と笑いの繰り返しがテンポよく続きますので、見心地・聞き心地の良い演目といえます。
子供が怖がるほどの話はありません。
笑いだけでは終われない後味の悪い落語「首提灯(くびぢょうちん)」
本編時間 | 約20分 |
怖さ度 | ★★★★☆ |
笑い度 | ★☆☆☆☆ |
笑い度を下げる落語って何?って思うかもしれません。
それくらい自分の中では、後味の悪い落語のひとつが「首提灯」です。
剣の達人に斬られると、斬られたことを気付かないほどの鮮やかさなのはわかります。
しかし、斬られたことを気付かないまま女郎屋へ向かう男には、滑稽さよりも絶望感を感じずにはいられません。
生きたまま、すでに死人となる運命が見えていることに悲壮感しか感じません。
落語「首提灯」全編を聞いただけでは、笑っていられますが、聞いたあとにこの男のことを思うと、ジワジワと恐怖が増してくるのです。
見てないものを見てるといわれる冤罪の行方は?落語「天狗裁き」
本編時間 | 約25分 |
怖さ度 | ★★☆☆☆ |
笑い度 | ★★★★☆ |
落語「天狗裁き」の面白さは、同じことがループするところ。
誰もが八五郎を助けに入ったと思いきや、結局は夢の内容を聞きたがるところです。
見ている人も予定調和の笑いを楽しむことができ、子供から大人まで笑える演目といえます。
大筋は八五郎が見てない夢を見たといわれることのため、楽しく見ていられます。
最後のところで、天狗に八つ裂きにされる直前までいくところに少々の怖さポイントがあります。
でも、本当の怖さはそのあとのオチにあり、オチのあとの八五郎の顛末を考えると恐怖が募ってきますね。
来てほしくもありほしくもない亡者の恩返しの上方落語「骨釣り」
本編時間 | 約25分 |
怖さ度 | ★★☆☆☆ |
笑い度 | ★★★★☆ |
落語「骨釣り」と同じものを題材にした落語「野ざらし」という演目があります。
「骨釣り」は関西を中心として演じられる上方落語の演目で、「野ざらし」は東京を中心として演じられる江戸落語の演目です。
あえて、上方落語の「骨釣り」を選んだのは、しっかりと亡者が出てくるからです。
髑髏の正体である女幽霊、そして、男幽霊の正体は石川五右衛門なのですが、それぞれ恩返しにやってきます。
「野ざらし」には、そのシーンが語りだけで、男の釣りのシーンの面白さに重点を置いている点が違います。
怖さ度は高くはありませんが、おどろおどろしく演じる必要も点が、個人的には評価が高い部分です。
次々に登場する妖怪にワクワクする落語「化け物使い」
本編時間 | 30分 |
怖さ度 | ☆☆☆☆☆ |
笑い度 | ★★★★☆ |
有名な妖怪が次々に出てくるだけで、ちょっと気持ちがワクワクする落語「化け物使い」。
子供たちにもウケのよい演目です。
前半は、奉公人と主人との掛け合いがほとんどですが、後半は妖怪が登場するも基本はひとり芝居。
妖怪を上手に使いまわすところが愉快なので、怖さは一切ありません。
妖怪たちを従えてしまうのですから、やっぱり一番怖いのは人間なのかもしれませんね。
まとめに:星新一のショートショートのような落語を楽しむ
妖怪や怪談話は、子供から大人まで興味を惹くものです。
その中でも、笑い要素が多くを含みながら、ちょっと不気味な、不思議な世界を見せてくれる落語を集めてみました。
単純に笑い飛ばしてしまうのもよいですが、実際の光景を想像すると、かなりゾッとするものもあります。
星新一のショートショートのような世界観を楽しんでいただけたらと思います。