学生時代は落語研究会におりました、くろーるです。
落語はお年寄りの娯楽というのは、今は昔。
お笑い好きだけではなく、言葉の勉強にもなるとアナウンサーまでが落語を聞く時代になりました。
とはいえ、子供に落語を聞かせるのは、まだまだハードルが高い・・・
落語といえば・・・

・言葉づかいが聞き慣れない
・話が長くてつまらない
・意味のわからない言葉が多数出現
大人だって聴いているのが苦痛ですからね。
でも、落語の演目は古今東西無限です!
そこで、落語研究会・通称落研(おちけん)出身の私が厳選した、子供ウケ間違いなしの演目をご紹介します!
話が短くてわかりやすい!それでいて、面白い!
子供だけではなく、落語初心者にもぜひ!!
ダジャレなら子供ウケもバツグン!マネしたくなる落語「つる」

近所ではものしりとして評判のご隠居さんのところへやってきた八五郎。鶴の名前の由来を尋ねたところ、ご隠居さんは鶴の名前の由来を語り始めます。あくまで、シャレで語った鶴の由来でしたが、八五郎はさっそく誰かの前で披露したくなって・・・
「つる」という演目は、私の在籍していた落語研究会では1年生が演じる演目のひとつでした。
要は、演じやすい話だということです。
「登場人物の少なさ」「話の短さ」「内容の簡潔さ」と、わかりやすい要素が盛り込まれているのです。

わかりやすい=子供にも理解しやすいということだね!
鶴の名前の由来は、単なるシャレです。
“つ~”と飛んできた鳥と、“る~”って飛んできた鳥が、ひとつの木に一緒に留まったので名前は「つる」だと。
誰もが「くだらない!!」と言いたくなるほど。
だからこそ、この部分が言わずにはいられなくなるのです。
落語の中でも、八五郎がマネしたくなったように、子供だってマネしたい!
クセになる演目だといえます。
話の長さも10分程度で、初めて落語に触れるには飽きない時間配分です。
子供ウケ間違いなしの演目ですよ。
私は桂歌丸師匠の軽快な口調の「つる」をおすすめします。
子供をナメた親の末路!あなたは知ってるか?落語「桃太郎」

子供を寝かしつけようと昔話の桃太郎を聞かせてやるお父さん。ところが、聞いていた子供から、桃太郎とはそんな単純な話ではないといわれます。子供が語る「昔話・桃太郎」に隠された知られざる教訓とは??
「桃太郎」といえば、子供からお年寄りまで誰もが知っている昔話のド定番ですよね。
でも、この演目で犬や猿やキジ、ましては鬼が出てくることはありません。
登場人物は、お父さんと子供だけ。
見ているものにとって、登場人物が少ないことは理解がしやすいことにつながります。
昔話「桃太郎」を語って、父親らしく子供を寝かしつけようというのが本筋です。
ところが、逆に子供に知識マウントをとられるという、ありがちなオチ。
子供にとっては馴染み深い演目であることで、一気に興味もそそられるでしょう。

桃太郎の話の本当の意味って知ってますか?
この桃太郎の話は、大人でもタメになるストーリーになっています。
中国の故事などを引き合いに語る子供に、自分もおもわずうなずいているはずです。
この落語も15分くらいの短めになっています。
子供はみんなオナラが大好き!落語「転失気(てんしき)」
体調がすぐれないお寺の和尚さん。医者を呼んで診てもらったところ、「“てんしき”はありますか?」と聞かれます。知ったかぶりをして「あります。」と和尚さんは答えたものの、気になる和尚さんは、寺の小僧に同じように知ったフリをして“てんしき”を借りてくるようにいいつけます。わけもわからず“てんしき”を借りにいく小僧さんが知った“てんしき”の正体とは??
まずは、最初にネタバレです。

転失気(てんしき)って、オナラのことだよ!
「転失気=オナラ」のことですが、いわゆる隠語になっています。
隠語とは、ある特定の人にだけ意味が伝わる隠し言葉や暗号といったところでしょうか。
和尚さんを診察した医者は、てっきり知ってものとして話したのですが、和尚さんは知らなかったわけです。
転失気を知ったふりをする大人たちが次々と登場。
転失気を食べた人や転失気を飾ってある人が出てくるのですから、クスクスせずにはいられません。

子供はみんなオナラが大好き!!
なんなら“オナラ”だけで、ずっと笑っていられます。
“てんしき”が何かがわからないまま進む前半パートに、少し飽きがあるかもしれませんが、オナラであることがわかってからの笑いの破壊力はスゴイものがあります。
10分強くらいの長さ演目ですが、下ネタ話って時間を感じさせないものですよね。
ヘン顔は怪しい人の代名詞!表情必見の落語「にらみ返し」

今年も残りあと少しと迫った年末。ぞくぞくと借金取りがやってくるものの、返すアテはありません。そこへ“どんな借金取りも追い返す”というプロが現れて・・・
落語は聞かせるものが多い印象をもっているかもしれませんが、この「にらみ返し」は顔芸が最大の面白さになっている演目です。
ラジオやCDでは、その面白さが全く通じません。
だって、借金取りがやってきても一言もしゃべらず、にらんで追い返すというプロが出てるのですから。
演じてる間にも、シーンとなる場面が何度も出てきます。
ひたすら、にらみ顔が続くというカオスな世界をお楽しみください。
子供に難しい言葉や風景が一切ないことも、おすすめポイント。
ヘン顔を見て、ずっと笑っていられる落語です。
子供はいつも怖い話が大好き!怪談落語の定番「死神」
貧乏な境遇の男の前に現れた死神を名乗る人物。その人物に死神を追い払うという呪文を教わった男は、重病さえ治す名医として有名となり、金儲けも思いのまま。もっと大金を儲けようとした男は、死神に教わった呪文を悪用してしまうことに・・・
「死神」は、落語の演者の中では″大ネタ″といわれる、演じるのが難しい演目です。
話の時間も30分程度と、子供が聞く落語としては長いと思うかもしれません。
しかし、「学校の怪談」をはじめ、子供は怖い話が大好き!
落語にありがちな重要人物や重要なパートを引き延ばすこともなく、序盤でこの話のキーマン・死神も登場します。
死神を追い払う呪文がふざけていたり、緩急をつけた展開にも自然と引き込まれてしまうはずです。
そして、ラストのバッドエンドに、

落語って笑えるものじゃないの??
という裏切り要素は、大人でもゾクッとさせられます。
最近は、米津玄師が「死神」からインスピレーションを得て曲を書いたことで話題にもなりました。
なんといっても、うちの子供が落語を聞くきっかけになった演目です。
ぜひ、一度は聞かせたい落語のひとつになりますよ。
『死神』を演じる落語家さんはたくさんいて、それぞれオチに違いもあります。
私のおすすめは柳家喬太郎師匠のバッドエンドの『死神』です。
まとめに:子供ウケが悪い大ネタや名人の落語
落語好きであるほど、名人の落語や大ネタを好きな演目にあげることと思います。
確かに、芸の細かさや表現力、笑いの完成度の高さは素晴らしいものがあります。
いいものを子供にも聞かせたいという気持ちもわかります。
ただ、音源が古くて聞き取りにくかったり、江戸言葉が聞き取れないなど、子供の興味が続かない状況が生まれるのです。
むしろ、現在活躍中の落語家さんの音源を探してくるなど、聞き取りやすいものを選んで、子供に聞かせることがいいでしょう。