第二次世界大戦では、当事国のひとつであった日本。
社会の授業でも敗戦国として大きく取り上げられますので、それなりに経過も知っていることでしょう。
一方で、ナチスドイツを中心としたヨーロッパ戦線はどうでしょう?
めちゃくちゃドイツが強かったことは知ってる??
その影で、ヨーロッパ中で非人道的な大虐殺があった事実も理解しなければなりません。
政治的な背景や戦線の経過、そして悲劇。
教科書で学ぶには、とても複雑なヨーロッパ戦線。
第二次世界大戦を題材とした映画を経過順で見ると、戦争の重苦しさが息遣いとなって伝わります。
上映時間が長いものも多いのですが、見るだけの価値のある映画を揃えてみました。
- ナチスドイツが勢いを強める第二次世界大戦前夜譚『ミュンヘン 戦火燃ゆる前に』
- ドイツと戦うイギリス国民を勇気づけた国王ジョージ6世の物語『英国王のスピーチ』
- ドイツの侵攻に果敢に抵抗した北欧諸国『ヒトラーに屈しなかった国王』
- 戦争において中立は許されないのか?『ナルヴィク』
- イギリスの決断『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』
- この作戦の成功なくして連合国軍の勝利は無かった『ダンケルク』
- まるで戦場にいるような冒頭20分『プライベートライアン』
- ドイツ崩壊のカウントダウンが始まる『ワルキューレ』
- ドイツ側では何が起こっていたのか?『ヒトラー~最期の12日間~』
- 第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で欠かせないホロコーストをテーマにした映画
ナチスドイツが勢いを強める第二次世界大戦前夜譚『ミュンヘン 戦火燃ゆる前に』
- 監督 クリスティアン・シュヴォホー
- 出演者 ジョージ・マッケイ他
- 公開 2021年
- 上映時間 131分
- 配信
この映画の舞台は1938年9月に開かれたミュンヘン会談。
ミュンヘン会談では、当時のイギリス首相チェンバレンを中心に戦争回避の名目のもと、ナチスドイツへの宥和策が取られました。
チェコスロバキアの一部領土・ズデーテン地方の割譲を認める代わりに、ナチスドイツの武力侵攻を思いとどまらせたことになりました。
しかし、ナチスドイツのヨーロッパ支配の野望が消えたわけではなく、第二次世界大戦を1年延ばしたにすぎない結果に終わります。
映画の中では、ヒトラーの本当の野心をチェンバレンに知らせミュンヘン会談を中止させようと、英独両方の若き外交官が暗躍します。
「今、数万の犠牲で終わるものが、将来、数十万の犠牲を出すことになる」
『ミュンヘン燃ゆる前に』内のセリフ
ミュンヘン会談の成功は戦争による犠牲を出さないためだという話に、ドイツの外交官がこう反論します。
そして、歴史の事実はこの通りに進んでいきました。
結果論としては、チェンバレンの選択は間違っていましたが、戦争回避を第一目的としたことを考えれば、やむなしの選択であったともいえます。
私たちは第二次世界大戦の結果を知っています。
歴史にifがあるとしたら、ミュンヘン会談の結果によっては、多くのユダヤ人やヨーロッパの戦火の多大な犠牲が防げたかもしれません。
一方で、新興著しいナチスドイツの勢力を抑え込もうとするヨーロッパ諸国の苦悩がわかる映画でもあります。
第二次世界大戦前のヨーロッパ事情がよく感じられる映画としてオススメします!
ドイツと戦うイギリス国民を勇気づけた国王ジョージ6世の物語『英国王のスピーチ』
- 監督 トム・フーパー
- 出演者 コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ他
- 公開 2010年
- 上映時間 118分
- 配信
1939年9月1日。
ナチスドイツはポーランドへ侵攻し、第二次世界大戦が始まります。
イギリスは直ちに、ナチスドイツへの宣戦を布告。
このときに、イギリス国民へ向けて緊急ラジオ放送を通して演説したイギリス国王ジョージ6世の話です。
戦時下ではチャーチル首相とともにイギリスを支え、戦争による貧困にあえぐ国民を鼓舞した国王でもあります。
ナチスドイツとの宣戦布告で見事な演説をしたジョージ6世でしたが、実は吃音症に悩まされスピーチが苦手。
その吃音症克服のために雇われた言語療法士との友情がコミカルに描かれています。
映画「英国王のスピーチ」は、アカデミー賞4部門を受賞。
ジョージ6世を演じたコリン・ファースは、主演男優賞を受賞しています。
コリン・ファースといえば「キングスマンシリーズ」にも出演していますが、イギリス紳士がよく似合うアクターですね。
言語療法士を演じたジェフリー・ラッシュといえば、「パイレーツカリビアンシリーズ」のバルボッサ船長といえばわかる人も多いかもしれません。
アカデミー賞では惜しくも助演男優賞は逃しましたが、コミカルな演技には定評があります。
この映画の中では直接的な戦争のシーンは描かれませんが、コミカルな映画だからこそ、イギリス国内に不穏な影が迫る様子が強調されてきます。
予告編を見た時から視聴したいと思ってはいましたが、アカデミー賞の受賞作品となると敷居が高い感じがして敬遠していました。
一人の国王の半生を描く単調にも思える内容にも関わらず、約2時間の上映時間を感じられないほど。
ときに微笑ましく、ときに感心し、最後の演説では胸を熱くする、そんな映画です!
ジョージ6世は、今でも人気のあるイギリス国王ですよ!
ドイツの侵攻に果敢に抵抗した北欧諸国『ヒトラーに屈しなかった国王』
- 監督 エリック・ポッペ
- 出演者 イェスパー・クリステッセン他
- 公開 2016年
- 上映時間 136分
- 配信
1940年4月から6月にかけて行われた、デンマーク・ノルウェーへのナチスドイツの侵攻作戦「ウェーザー演習作戦」が舞台です。
当時のノルウェーの国王ホーコン7世が、自国を守るために苦悩する姿が描かれています。
ナチスドイツのポーランド侵攻に対して中立の立場を表明していたノルウェー。
イギリス・フランスの侵攻からノルウェーを守るという名目で、ナチスドイツは武力侵攻とともに戦争協力への同意を迫ります。
拒否をすれば兵隊や自国民に犠牲が出ます。
しかし、同意することはノルウェーが主権をもつ国家ではなくなってしまう。
国王ホーコン7世は、攻め寄せるナチスドイツ軍を前にしながらノルウェーの未来のために悩みます。
映画『ヒトラーに屈しなかった国王』は国としての選択を描いています。
一方で、この次に紹介する映画『ナルヴィク』は、このときに侵攻を受けたノルウェーの都市のひとつで、こちらは犠牲になる家族の話です。
どちらの選択も間違いではないし、正しいともいえません。
それが戦争の現実なのだと思い知らされます。
あまり日本では取り上げられませんが、第二次世界大戦下において、ノルウェーがナチスドイツの影響を大きく受けた国であることは間違いありません。
その影響は戦後も続いてきました。
ラストシーンにある国王ホーコン7世の決断は、今もノルウェーが国家として存在しえる意味をわからせてくれます。
このあと国王ホーコン7世をはじめ、閣僚や一部の軍はイギリスへ脱出し亡命政府を立ち上げます。
惜しいかな、この亡命政府下でのことも描いてもらえたら、より理解が進んだのではないかと思います。
ナチスドイツの民族浄化の政策は、戦後のノルウェー社会に大きな影を堕としています!
戦争において中立は許されないのか?『ナルヴィク』
- 監督 エーリク・ショルビャルグ
- 出演者 クリスティーヌ・ハルトゲン他
- 公開 2022年
- 上映時間 109分
- 配信
ナチスドイツがポーランドへ侵攻し始まった第二次世界大戦。
開戦直後には、ドイツのポーランド侵攻に対して中立を宣言した周辺国が多くありました。
ノルウェーも中立宣言をした国のひとつ。
ナルヴィクは、そのノルウェーの港街でした。
中立を宣言していたため、ドイツ軍に対するノルウェー軍の対応は″静観″だったのです。
ところが、ドイツ軍はナルヴィクに突如侵攻してきます。
というのも、ここナルヴィクは鉄鉱石の搬出港でした。
兵器製造などに鉄の増産が必要であったドイツとしては、原料となる鉄鉱石確保のためにナルヴィクを占領したのです。
中立国に侵攻したこともドイツ軍躍進の要因のひとつです!
この映画の主役はナルヴィクに住む若い家族です。
夫はノルウェー軍の兵士、妻は食堂で働くウエイトレスですが、ドイツ語が話せたことが悲劇をもたらします。
ナチスドイツの西ヨーロッパへの侵攻が素早くできた要因には、この中立国への侵攻があります。
映画の初めの方では、ノルウェー軍の兵士たちがドイツ軍の侵攻を見逃すシーンが出てきます。
中立なのだから、攻めてくるはずがないと考えていたのです。
それが時間経過とともに戦闘は激しさを増し、自分たちが戦争に巻き込まれている現実に直面します。
知らず知らずのうちに家族は引き裂かれ、そして帰らぬ人となる。
そんな戦争の現実を思い知る作品です。
映画「ナルヴィク」に描かれたナルヴィクの戦いは、フランス・イギリス軍の援護もあり、ノルウェー軍はドイツからの奪還に成功します。
ナチスドイツ最初の敗戦ともいわれる戦いです。
しかし、連合国軍はのちにナルヴィクから撤退し、再度ドイツに占領されています。
この映画に出てくる人たちが、その後どのような酷い扱いを受けたかと思うと胸が痛くなります。
イギリスの決断『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』
- 監督 ジョー・ライト
- 出演者 ゲイリー・オールドマン他
- 公開 2017年
- 上映時間 125分
- 配信
ナチスドイツが西ヨーロッパ諸国に侵攻、次々と降伏していく中、その勢いはドーバー海峡を隔てたイギリスへも迫ろうという勢いを見せていた1940年。
ウィンストン・チャーチルは、挙国一致内閣として首相に選ばれます。
チャーチルの党内での評判は芳しくなく、ナチスドイツと平和協定を締結するための″後処理内閣″の様子を呈していました。
そんな中、チャーチルは苦悶し続けます。
ナチスドイツと手を結ぶか、戦うか。
ナチスドイツと手を結ぶか、それとも戦うか。
この時点ではまだ、ナチスのユダヤ人虐殺が世界には伝わっていない段階です。
ナチスドイツのイギリス侵攻作戦「あしか作戦」も実際に計画されていましたので、イギリス国民の命を守る立場にあるチャーチルとしては、簡単に下せる決断ではなかったことがわかります。
結果論として、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線での奇跡の救出劇「ダイナモ作戦」を成功させるわけですが、これも多大な犠牲を払う決断をともなっています。
「ダイナモ作戦」については、後述の映画「ダンケルク」を視聴されることをオススメします。
チャーチルがナチスドイツと戦う決断を下さなければ、ヨーロッパ全土がナチスドイツの支配下になっていたでしょう。
歴史とは、ひとりの人物の判断で大きく変わるものなのです。
チャーチルを演じるのは、バットマンシリーズ「ダークナイト」でゴードン警部役のゲイリー・オールドマン。
小太りで背を丸めてせわしなく歩くチャーチルを見事に演じて、アカデミー賞主演男優賞を受賞しています。
ナチスドイツの勢いにヨーロッパ諸国が恐怖している様が、肌で感じられる映画です!
この作戦の成功なくして連合国軍の勝利は無かった『ダンケルク』
- 監督 クリストファー・ノーラン
- 出演者 フィン・ホワイヘッド他
- 公開 2017年
- 上映時間 106分
- 配信
映画タイトルであるダンケルクとは、ドーバー海峡に面するフランスの港街。
そして、第二次世界大戦初期に大きな転換点となる1940年5月26日から6月4日にかけて実行された「ダイナモ作戦」の舞台でもあります。
ナチスドイツに追い詰められたイギリスやフランスの将兵30万人を救った奇跡の救出劇といわれた作戦です。
ダイナモ作戦の成功は、イギリス国民の戦意を高揚させ、イギリスがナチスドイツとの戦闘を継続させることをチャーチルに決断させる契機にもありました。
この救出劇を3つの視点から進めていくところに映画「ダンケルク」の面白さがあります。
ひとつは、ダンケルクへ追い詰められ、救出の船に必死に乗り込もうとする若いイギリス兵士。
ひとつは、ダンケルクの救出作戦へ参加するためイギリスから向かう民間ボート。
ひとつは、同じくダンケルクへ向かうイギリス空軍のパイロット。
この三者がそれぞれの事情と目的を抱えて、運命の場所ダンケルクでクロスする群像劇となっています。
監督はバットマン映画「ダークナイト」などを代表作にもつクリストファー・ノーラン。
私はダークナイトシリーズが大好きで、その監督だからということで最初にこの映画を視聴しました。
はじめは三者の視点がバラバラ過ぎて、理解が難しいまま進む印象です。
しかし、ドイツ軍の恐怖だけが、ずっと映画の中を漂い続けます。
この怖れこそが、当時のヨーロッパが感じていた、ナチスドイツの印象なのだと思います。
「本当に他国に侵略される」という恐怖が感じられるのです。
ダンケルク救出劇は、連合軍の撤退作戦に過ぎません。
でも、このときの戦力が残ったからこそ、のちのDデイ・ノルマンディ上陸作戦からの連合国軍反攻作戦が可能となります。
第二次世界大戦の恐怖と絶望、そして一縷の希望が見える映画として、ぜひ見ていただきたい映画です。
どれほどドイツ軍を恐れていたかが、よくわかる映画です!
まるで戦場にいるような冒頭20分『プライベートライアン』
- 監督 スティーブン・スピルバーグ
- 出演者 トム・ハンクス、マット・デイモン他
- 公開 1998年
- 上映時間 170分
- 配信
監督があのスティーブン・スピルバーグ。
主演にヒューマン映画といえばこの人、トム・ハンクス。
アカデミー賞11部門にノミネートし、5部門を受賞といえば、感動の嵐に違いありません!
とはいうものの、私個人的にはそれほど入れ込んだ映画ではありません。
連合国軍の反攻作戦の第一歩として名高い1944年6月6日に開始されたノルマンディー上陸作戦、通称Dデイを舞台にした映画です。
約3時間近くの長い映画ですので、集中力を切らさずに見続けるのはなかなかしんどい映画かと思います。
ただ、私はこの映画の冒頭シーンだけは、見て損の無い凄惨なシーンと思っています。
戦場の戦闘シーンを、これほどリアルに描き、見ている人に肌感で戦闘を感じるシーンは無いのではないでしょうか。
海からノルマンディーの海岸に上陸するところから始まる冒頭。
ドイツ軍の攻撃で思うように進まないもどかしさ、いつまでも続く銃撃と爆撃、身を隠そうにも隠す場所の無い恐怖、まるで的にされるように次々と撃たれる兵士。
自分が戦場にいるような錯覚さえ起こすほどの没入感なのです。
ひとつのドキュメンタリーを見るかのごとくの再現度は、″戦場は恐ろしい″の一言です。
長い映画は苦手!という人は、この冒頭20分だけ見て、その後を見るか決めても損はありませんよ!
兵士のひとりになった恐怖感を体験できます!!
ドイツ崩壊のカウントダウンが始まる『ワルキューレ』
- 監督 ブライアン・シンガー
- 出演者 トム・クルーズ他
- 公開 2008年
- 上映時間 120分
- 配信
1944年に起きた「7月20日事件」といわれるヒトラー暗殺計画を題材にした映画です。
事件の首謀者のひとり、隻眼の英雄シュタウフェンベルク大佐をトム・クルーズが演じています。
第二次世界大戦末期、すでにドイツ軍が各地で敗戦を重ねており、ヒトラーの絶対的権力も揺らぎ始めていた頃です。
ヒトラー暗殺計画は、いくつかあったのですが、実際にはひとつも成功はしていません。
ですが、「7月20日事件」がもっともヒトラー暗殺の可能性に近づいた事件でした。
巻き込まれた幹部には、実際に死者も出ていますし、ヒトラー自身も軽傷ながらも負傷しています。
映画「ワルキューレ」の結末は、ちょっとググればわかるとはいえ、ここでは書きません。
歴史の事実を描きながらも、かなりエンタメ性は高いので、ハラハラドキドキの連続です。
やっぱりトム・クルーズには、手に汗握るスリルが似合います。
第二次世界大戦では、敗戦国でもあるナチスドイツはヒール役です。
とはいえ、ドイツ軍の中でもヒトラーのやり方に反発していた勢力もあったことがわかります。
反ユダヤ主義についても、ドイツ軍内部で同調していたわけでもなかったのです。
映画全体が「7月20日事件」を描いているため、映画の中身に触れるとすぐにネタバレになりますので、詳しくは書きません。
「ミッションインポッシブル」と同等のスリルを保障するとともに、これが実際の事件だったと思って視聴すると、そのスリルが倍増すること間違いなしです。
トム・クルーズの映画だけに、エンタメ性が高いです!
ドイツ側では何が起こっていたのか?『ヒトラー~最期の12日間~』
- 監督 オリヴァー・ヒルシュビーゲル
- 出演者 ブルーノ・ガンツ他
- 公開 2004年
- 上映時間 156分
- 配信
西からは連合国軍が、東からはソ連軍が迫り、各地で敗北を重ねるドイツ軍。
1945年4月には、首都ベルリンにもソ連軍が迫り、陥落寸前となります。
そして、4月30日。
栄華を誇ったヒトラーが自殺するまでの12日間を追った映画が『ヒトラー~最期の12日間~』です。
ドイツの敗北は決定的にも関わらず、反転攻勢を支持する総統・ヒトラー。
そして、その指示に冷ややかに対応するも背けない参謀たちが腹立たしくもあります。
外ではベルリン市民がソ連軍の攻撃だけではなく、戦闘に参加しないことを理由にドイツ軍兵士にも殺される惨状にまで至っています。
ナチスドイツ下で宣伝相として、ドイツ軍のプロパガンダを喧伝し続けたゲッペルスと一家が出てきます。
ゲッペルス一家は、ヒトラーの自殺のあとを追い、幼い子供と心中をするという悲劇があります。
ただ、後述の『戦場のピアニスト』や『シンドラーのリスト』にあるユダヤ人への迫害や虐殺行為を見たあとでは、ナチス幹部の身勝手さばかりが浮き彫りになるシーンに見えます。
もっとも、ドイツ市民が強制収容所で非人道行為が行われていたことは知らずにいたことも描かれており、事実を知らずにヒトラーを支持し続けた愚かさも見えます。
第二次世界大戦をドイツ視点で見る、数少ない映画だと思います。
ホロコースト関連映画のあとに視聴すると、ヒトラーを支持する人たちの愚かさが際立ちます。
第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で欠かせないホロコーストをテーマにした映画
ナチスドイツによるホロコーストは、第二次世界大戦では欠かせない出来事です。
人種差別主義者だったヒトラーによるユダヤ人迫害は、戦争の長期化とともにエスカレート。
アウシュビッツに代表される「絶滅収容所」において、多くのユダヤ人虐殺が行われました。
第二次世界大戦映画として、同様のテーマ作品は多くありますが、どの映画も戦前から戦後を通して描かれているため、時系列からは外さざるを得ません。
私的には、第二次世界大戦の前半線を知ってから、連合国軍の反攻前くらいのタイミングで見ると理解が進むと思います。
この記事の中ですと『プライベートライアン』の前に見る感じです。
というのも、ユダヤ人迫害行為は、その程度の差こそあれ、戦争初期から知られていました。
しかし、ナチスドイツの残虐行為を止めるような状況にないほど、勢いが凄まじかったことを感じて欲しいと思います。
そして、第二次世界大戦の後半、ナチスドイツが追い詰められているにも関わらず、ユダヤ人の虐殺は続いていたことも知って欲しいからです。
テーマが重いだけに見ることを敬遠する人もいるかもしれません。
その一人だった私が、これは見るべきとご紹介する2作品です。
ナチスから逃れるユダヤ人の過酷な逃亡生活『戦場のピアニスト』
- 監督 ロマン・ポランスキー
- 出演者 エイドリアン・ブロディ他
- 公開 2002年
- 上映時間 150分
- 配信
第二次世界大戦の始まりである1939年9月のポーランド侵攻から終戦までを、ユダヤ人ピアニスト・シュピルマンの体験記を元にしています。
アウシュビッツなどの収容所での虐殺にスポットが当たりがちですが、『戦場のピアニスト』はユダヤ人迫害から逃れる話です。
映画の中ではポーランド侵攻の他にも、ゲットー蜂起やワルシャワ蜂起といったユダヤ人の抵抗戦も描かれます。
もちろん、抵抗戦の報復によるナチスドイツ軍による徹底した弾圧や殺害、収容所への移送シーンもあり、見につまされる場面もあります。
他の映画に比べて悲惨なシーンは少ないものの、ナチスドイツから逃れるための過酷な逃亡生活は、悲惨そのものです。
終戦前年のユダヤ人最大の抵抗放棄・ワルシャワ蜂起の報復として、ワルシャワの街は徹底的に破壊されます。
ラストシーンでは、その破壊されたワルシャワの街も再現され、戦争のむなしさが伝わってきます。
第二次世界大戦では、もっとも多大な被害を受けたポーランドで起きたことのすべてがわかる作品です。
救われた命と救えなかった命に涙する『シンドラーのリスト』
- 監督 スティーブン・スピルバーグ
- 出演者 リーアム・ニーソン他
- 公開 1993年
- 上映時間 195分
- 配信 NetFlix/Amason Prime video
あまりのも有名な映画なので、すでに見ている人も多いかもしれませんが、私はスピルバーグのヒューマン映画は好きではないので未見でした。
なんといっても上映時間3時間は長い!
始めは1時間ずつ3回に分けて見るつもりでしたが、一気見しました!
というのも、主人公である実業家・シンドラーが最初は決して善意からユダヤ人を救ったのではないことに魅せられました。
シンドラーはドイツ人なのですが、ナチスのユダヤ人差別によりユダヤ人の労働賃金が低く抑えられていたことが、ユダヤ人採用の理由だったのです。
きっかけは、会社の利益、つまりは儲けのためだったのです。
そのため、会社でユダヤ人を多く採用できるようにドイツ人将校にも近づき、賄賂や接待で人脈を築いていきます。
しかし、そこ見る光景は、全くの罪の無い人たちが、ユダヤ人であるというだけで殺される酷い日常でした。
そのことがシンドラーをユダヤ人を救う活動へと向かわせます。
理由さえつけば、どんなユダヤ人でも、例え工場勤務には向かない人でも自分の会社で採用していきます。
それでも救えないユダヤ人がいることに、シンドラーが慟哭するラストシーン。
涙を堪えることができませんでした。
実業家だからこそ手段を選ばず、光と影の部分を演じたシンドラー役のリーアム・ニーソンは適役です。
救われたユダヤ人がいた一方で、何万という殺されたユダヤ人がいることを思うと、シンドラーの言葉が刺さります。
まとめに:戦争が始まる理由が集約した第二次世界大戦
この地球上で、今もどこかで戦争は行われています。
戦争が無かった時代など無かったし、これからも無くならないのかもしれません。
イデオロギーや宗教観の対立、領土の拡大、経済政策、人種差別、兵器の開発などなど、戦争は始まる理由はいくらでもあるのです。
第二次世界大戦は、この「戦争の理由」が集約していました。
さまざまな異なる理由と思惑で、戦線は拡大していったのです。
第二次世界大戦をテーマにした映画を見比べてみると、戦争の理由に気づき、いつか無くせる端緒にできればと願います。