高校日本史は思考力が大事!面白く勉強するおすすめ歴史漫画8選

参考書の部屋

歴史の中でも日本史が大好き!くろーるです!

という私の高校社会の選択は、もちろん“日本史”。

ところが、高校日本史は暗記だけでは太刀打ちできません。

時代背景や社会情勢・思想などを元に、起きた事件の因果関係などを考察する力が求められます。

ここまで暗記力で突破してきた日本史も、

高校日本史って、なんだかわからない・・・

ってことになりがちです。

そこで、まずは常に歴史のできごとをイベントとして捉えるのではなく、大きな流れから捉える必要があります。

“そのとき人はどんな考えをもって、どう動いたのか?”

その思考力を身につけておけば、高校日本史の考察問題は、かなり解きやすくなります。

とはいえ、字づらを読んだだけでは頭には入りづらいもの。

だからこそ、漫画の中で人々が考えたことを追体験して学んでしまおう!

高校日本史の勉強に役立つ歴史漫画を揃えてみました。

  • 歴史上の事実に、かなり忠実なこと → 史実の流れを把握できる!
  • 読んでいておもしろいこと → 印象に残るから記憶される!

この2点から選んでいますので、ぜひぜひ読んでみてください!!

平家物語にみる国家のあり方『ジパング 深蒼海流』【平安末期~鎌倉初期】

  • 作者 かわぐちかいじ
  • 掲載 モーニング
  • 出版社 講談社
  • 巻数 全23巻(完結済)
平清盛
平清盛
  • 政治体制が変わる理由が身につきます。
  • 複雑な登場人物が、キレイな絵とともに整理できます。

「祇園精舎の鐘の声」から始まる鎌倉時代の歴史書『平家物語』の冒頭部分は、古典でも暗記をさせられる有名な部分です。

『ジパング深蒼海流』が取り上げる時代とは、平治の乱により源氏の頭領・源義朝(みなもとのよしとも)が敗れたところから始まり、悲劇のヒーロー源義経(みなもとのよしつね)が最後を迎えるまでが描かれています。

登場人物も多数!

平家全盛を作り上げた平清盛(たいらのきよもり)、鎌倉幕府を開いた源頼朝(みなもとのよりとも)、その妻・北条政子(ほうじょうまさこ)、そして鎌倉幕府二代目執権北条義時(ほうじょうよしとき)も登場します。

そこは『沈黙の艦隊』『空母いぶき』などを作者である、かわぐちかいじ先生の美しい絵で、主要人物は美男美女ばかり。

自分のお気に入りの人物に感情移入しながら『ジパング深蒼海流』を楽しめます。

私が特に気に入っているのは、歴史的には悪役にされている平清盛が、大局観をもった人物をして描かれているところです。

源頼朝を含め、国を治めるための広く大きな思想が無くては、歴史に名を残す政治家にはなれないことを『ジパング深蒼海流』で知ることになるでしょう。

受験出題頻度が高い理由を深く身に着ける

平安時代末期から鎌倉時代前半は、高校受験でも出題頻度の高い時代です。

なぜなら、日本の政治体制が大きく変化したから。

そして、時代の主役たちが国家のあり方を変えようとしたからに他なりません。

『ジパング深蒼海流』に描かれた視点も、源平合戦から鎌倉幕府の成立までを「国家のあり方」を中心に読み解いています。

武家政治を始めようした人、その流れに抗った人、そして、世の流れを知りながら着いていけなかった人。

それぞれの人間模様を漫画で読むことで、当時の時代の動きを、教科書とは違う視点で理解できます。

平清盛
平清盛

小論文にも生かせる部分もありますので、読破してみてはいかがでしょうか。

足利尊氏に対抗し続けた鎌倉北条氏最後の男『逃げ上手の若君』【室町・南北朝時代】

  • 作者 松井優征
  • 掲載誌 週刊少年ジャンプ
  • 出版社 集英社
  • 巻数 既刊5巻(連載中)
  • マイナーな歴史上の主人公ながら、悪役は重要人物ばかり。
  • 室町・南北朝時代を苦手にしてる人には、ぜひおすすめ。
  • 時代背景を知るためにも、巻末の解説は一読の価値あり。
  • コミカルな作風なので読みやすい。

「史実に忠実な漫画を紹介している」と言いながら架空の人物・架空の設定が多い『逃げ上手の若君』。

というのも、史料の乏しい人物を主人公にしている点が大いに影響しています。

時代は鎌倉幕府の滅亡から、足利尊氏(あしかがたかうじ)による室町幕府成立の頃。

そして、主人公は鎌倉幕府の最後の執権・北条高時(ほうじょうたかとき)の息子・北条時行(ほうじょうときゆき)です。

『逃げ上手の若君』の冒頭部分でも語られていますが、歴史の教科書ではとりあげられません。

そして、クライマックスであろう「中先代(なかせんだい)の乱」も、日本史の授業やテストで出題されることもないでしょう。

それほど、マニアック度の高い人物が主人公なのです。

敵方には多く登場する室町・南北朝時代の重要人物

″架空の人物が多い”とはいったものの、『逃げ上手の若君』では敵方・悪役となっている人物のほとんどは実在の人物です。

室町幕府を開いた足利尊氏や、室町幕府の行政方を取り仕切った弟・足利直義(あしかがなおよし)をはじめ、日本史の中では知られた登場人物もたくさん登場しています。

主人公・北条時行はもちろん実在した人物です。

鎌倉幕府滅亡とともに鎌倉を追われながら、3度も鎌倉の奪還に成功しています。

日本史としては些細な出来事ではありますが、当時の足利尊氏としては、室町幕府の政権を揺るがす人物でした。

足利尊氏
足利尊氏

当事者にとっては一大事だったのだよ!

敗者の側から見た室町時代が描かれた漫画が『逃げ上手の若君』であるのです。

アンダーグラウンドな世界で理想の教育を語った『暗殺教室』の作者・松井優征先生による歴史漫画。

この自由主義・実力主義がもてはやされる時代に、″敗者だからこそわかる戦い方″が展開されるのです。

巻末の解説が室町・南北朝時代の学習効果が高い!

室町・南北朝時代を描いたマンガは、そう多くはありません。

だからこそ、室町時代初期の時代の雰囲気が見て取れる漫画といえます。

巻末には、時代考証を担当された本郷和人先生による解説が、同巻の漫画とともに書かれています。

『逃げ上手の若君』で室町・南北朝時代にどっぷり浸かったあとの、文化や産業などの解説は頭に入ります。

日本史学習の手助けとして、室町・南北朝時代を苦手にしている人には読んでいただきたいですね。

戦国時代を開いた小田原・北条早雲一代記『新九郎、奔る』【室町後期・戦国時代】

  • 作者 ゆうきまさみ
  • 掲載誌 ビッグコミックス
  • 出版社 小学館
  • 巻数 既刊9巻(連載中)
  • 「応仁の乱」をユルく学べます。
  • 群像劇好みなら、読んで損なし。
  • 北条早雲のイメージが変わります。

下克上のカリスマといえば北条早雲(ほうじょうそううん)。

一介の素浪人から大名へと成り上がった戦国時代のパイオニアとして知られた人物です。

しかし、最近の研究では室町幕府の高級官僚であることがわかってきました。

幕府の財務官僚である伊勢家の次男・伊勢新九郎盛時(いせしんくろうもりとき)=のちの北条早雲の一代記です。

既刊9巻までの間には、まったく″下克上の成り上がり″要素はありません。

むしろ、細部にまで細かい事務官僚として、各人の調整役として成長していく様がみてとれます。

歴史好きな人ほど、過去のイメージと程遠い北条早雲像になるはずです。

日本史の中でも屈指の難解さ「応仁の乱」をユル~く漫画学習

1467年から10年も続いた応仁の乱を、ひとつの筋として通して描かれており登場人物も多数。

そのため、一度読んだだけでは人間関係や時代の流れがわからないと思います。

その原因は、作者・ゆうきまさみ先生の描き方にあるのではありません。

どれほど漫画の作画を駆使しても「応仁の乱」という戦乱がグダグダの展開であったことが、よーくわかります。

むしろ、群像劇漫画を得意とするゆうき先生だからこそ、これほど多い登場人物にも関わらず、それぞれの人物が魅力的に描かれているといえます。

ゆうき先生の代表作である『究極超人あ~る』や『機動警察パトレイバー』でもそうであったように、どれほどの悪人であっても、その魅力に惹かれずにはいられないからです。

コミック4巻くらいまでは、人物関係を把握するために少し読むことに苦労する人もいるかもしれません。

でも、歴史本では理解できない展開も、ゆるーい日常を織り交ぜつつ、ユニークな展開で進むので、ちょっと頑張って読んでもらえると5巻以降は一気に読み進めてしまいます。

また、現代的な表現やカタカナ語を、あえて会話に混ぜているのでわかりやすいですよ。

ところどころの歴史小ネタは、当時の経済情勢や生活習慣などの知識を得ることに効果的です。

新九郎を北条早雲へと変えた言葉こそ「悪名は無名に優る」

私の心に響いた場面をご紹介しておきます。

西国の領地経営を任された新九郎(北条早雲)。

ところが、先代の領地への無関心から領民は、領主の名前さえ知らない状態。

まずは、領地をただ歩けとアドバイスされるも、何も仕事が無いことに反発します。

北条早雲
北条早雲

悪名は無名に優る!

名前さえ知らないものの話に、誰が耳を貸すか!ということです。

同調圧力・事なかれ主義に巻かれずに、自分の主張をすることが第一歩といわれた気がしました。

この場面は、生真面目な新九郎が関東の雄となる伏線になったように思えます。

既刊9巻以降には、北条早雲の国盗りの過程が描かれるはずです。

さらに登場人物は増え、利害関係も複雑になっていきます。

だからこそ、漫画で読む歴史ドラマの面白さが増しますので、期待感は膨らむばかりですね。

リアルな合戦を忠実に再現した『センゴク』【戦国時代】

  • 作者 宮下英樹
  • 掲載誌 ヤングマガジン
  • 出版社 講談社
  • 巻数 全15巻(完結済)
  • 絵の好みは別れるかもしれません。
  • 第一次資料を元に描かれているため、通説とは異なる視点で書かれた場面は新鮮!
  • 史実に近いエピソードが再現されています。

戦国時代は漫画の題材として取り上げられやすいですよね。

あまたある戦国時代の漫画の中で天下統一の過程を、これほど詳細に丁寧に描いた作品は少ないでしょう。

『センゴク』は、全部で四部で構成されています。

主人公の堀秀久(ほりひでひさ)は豊臣秀吉に仕え、歴史好きであれば「大失態を犯した戦国武将」という認識が強いかもしれません。

そうゆう私も、四国の覇者・長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)ファンとしては、堀秀久には複雑な想いがあります。

なにせ、薩摩・島津藩との戦いで敗北し、長宗我部元親の息子を戦死させた大戦犯だからです。

とはいえ、『センゴク』を通して読むと、必死な堀秀久の生きざまには共感をしてしまいます。

織田信長に滅ぼされる浅井長政までを描く第一部『センゴク』

『センゴク』の第一部では、堀秀久の豊臣秀吉との出会いから浅井長政滅亡で完結をしています。

その中でも、もっとも衝撃的なところが「姉川の合戦(あねがわのかっせん)です。

作者・宮下英樹先生のスゴイところは、歴史の一次資料を徹底的に読み込んで作品に反映している点。

さらに、最近の研究もとりこみ、今までの通説とは異なる新説にも、より説得力をもたせています。

姉川の合戦シーンは、そのシンボルともいえ、それだけに史実に一番近い漫画といえるのです。

豊臣秀吉
豊臣秀吉

尾張出身だがね~

セリフも方言でしゃべってるだがや~!

【戦国・江戸初期】『へうげもの』茶の湯を通した戦国時代ギャグ漫画

  • 作者 山田芳裕
  • 掲載誌 モーニングKC
  • 出版社 講談社
  • 巻数 全25巻(完結済)

茶の湯を通して見る戦国時代。

この時代の茶の湯は、大名としてのレベルの高さを示すものであり、政治的な場でもありました。

千利休(せんのりきゅう)の高弟であり戦国武将でもあった古田織部(ふるたおりべ)を主人公に、数々の有名な逸話も盛り込んだ作品です。

ギャグ要素も多いですし、絵は好みがあるかもしれません。

全体的には歴史の流れや説を用いてはいるのですが、ちょっとしたトラブルや解釈の違いによりできごとが進んでいくところもあります。

コメディタッチが好みなら、『へうげもの』はおすすめです。

【江戸初期】『将軍の血』徳川三代将軍・家光の男色説

  • 作者 今井ムジイ
  • レーベル MFコミックス
  • 出版社 KADOKAWA
  • 巻数 全3巻

「徳川三代将軍・家光は、男好きだった」ということにフォーカスした漫画。

そして、なぜ家光は女性を愛せなかったのか?の理由も描かれています。

徳川幕府250年の安定政権を作ったといわれる徳川家光ですが、その育ちや性格は複雑だったといいます。

屈折した環境が男色を生み、その窮余の策としてできた大奥まで、徳川初期のことを学ぶには良いのではないでしょうか。

【幕末】『アサギロ~浅葱狼~』新撰組天才剣士が見た動乱の歴史

アサギロ~浅葱狼~ (作者 ヒラマツ・ミノル)

既刊24巻(ゲッサン少年サンデーコミックス連載中)

日本史で人気の高い幕末からは、新撰組の天才剣士・沖田総司(おきたそうじ)を主人公にした『アサギロ~浅葱狼~』をエントリー。

幕末=新撰組といえるほど、日本史には斬っても斬れぬ関係にある新撰組ですが、日本史の学習としてはほとんど登場はしません。

しかし、武士より武士らしく、鮮やかに活躍し、鮮やかに散っていった新撰組を抜きにして幕末を語れないのも事実です。

近藤勇(こんどういさみ)・土方歳三(ひじかたとしぞう)とともに有名な沖田総司ですが、漫画ではサブキャラ扱いが多いと思います。

そこを、少し天然な天才剣士として取り上げています。

新撰組を通して見る幕末の歴史を身に着けてみるには良い漫画ですよ。

【幕末・明治】『兵馬の旗』理想の国家を競った戊辰戦争の新視点

  • 作者 かわぐちかいじ
  • 掲載誌 ビッグコミックス
  • 出版社 小学館
  • 巻数 全10巻(完結済)
  • 幕末を俯瞰的に見ることができます。
  • 戊辰戦争を大きな流れで、わかりやすくつかめます。
  • 史実の上で重要ポイントが網羅されています。

新しい国家とは?

明治という新しい時代を造り、生きようとした人たちの希望と苦しみ。

架空の人物である主人公・宇津木兵馬を中心に、戊辰(ぼしん)戦争の経過が描かれています。

鳥羽伏見の戦いから江戸無血開城、ターニングポイントとなった上野戦争、最大の悲劇・会津戦争、そして箱館戦争での終戦と戦後。

西郷隆盛(さいごうたかもり)や勝海舟(かつかいしゅう)、榎本武揚(えのもとたけあき)といった有名な偉人だけでなく、赤報(せきほう)伝習(でんしゅう)といった重要ながらもスルーされがちなことにも触れられているところがポイントです。

また、戊辰戦争は、薩摩・長州などの新政府軍が有利に戦っていた印象がありますが、旧幕府軍にも多くの勝機があったことも、よく理解できるでしょう。

幕末は、日本史の中でも人気の高い時代です。

しかし、その多くは派手な戦闘シーンに目が行きがちです。

そこを、国家観を得意とする作者・かわぐちかいじ先生の筆致で、新しい日本の理想を見ることができます。

登場人物も多く、重要な出来事がめまぐるしく進む幕末・明治を、政治的背景とともにしっかりと把握するにはうってつけの漫画です。

全10巻なので、短時間で一気に読破しやすいのも魅力ですね。

まとめに-「歴史はドラマ」と感じれば日本史は楽しく学べます!

「ドラマ好きなら歴史好きになれる!」が持論のくろーるです。

そこには、むずキュンドラマも悪党成敗ドラマもドロドロの愛憎ドラマも、あらゆるドラマが詰まっています。

だって、歴史は人の気持ちで動いてきたからです。

年号や事件名を覚えることをやめて、一人の歴史の主人公になって漫画を読んでみてください。

そうすれば、歴史がいかに人間の心で動いてきたかがわかるはずです。

人間という視点で歴史を見つめることができたら、それはもう歴史が得意分野になったも同然。

ここにまた一人、歴史のトリコが生まれたことでしょう!!



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